主任司祭より

◇年間第18主日(教会暦と聖書の流れ) 2018年8月5日(日)

 

 先週の福音は、五つのパンと二匹の魚を大群衆に分け与えたという話でしたが、今日は、その翌日の話です。パンをめぐるイエスと群衆の対話の中で、何が「命のパン」か、すなわち、何がほんとうに人を生かすものであるかが問われ、そして、明らかにされていきます。

2018年平和旬間 日本カトリック司教協議会会長談話

“平和の問題に常に関心を”

 

 昨年暮れにフランシスコ教皇様は、「焼き場に立つ少年」の写真に目をとめられ、「戦争がもたらすもの」と表題をつけて署名し、広く頒布するよう指示されました。この写真は、長崎の原爆投下1カ月後に米国従軍カメラマンが撮影したもので、戦争がもたらす不幸、悲しみ、虚しさ、憤りを表しています。戦争は決して引き起こしてはなりません、という教皇様の強い意思が伝わってきます。

 

 今年は第一次世界大戦終結100周年、インド独立の父マハトマ・ガンジー暗殺70周年、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者キング牧師暗殺50周年です。あらためて戦争と平和について考えさせられます。この一世紀の間、国際連盟設立、「国際紛争解決のため、および国策遂行の手段としての戦争の放棄」を誓ったパリ不戦条約締結、再度の大戦とその後の国際連合設立、東西冷戦、共産圏崩壊などがありました。一方、英仏ソ米などの100ほどの植民地が独立を果たしたことは幸いなことです。全体的に見ますと、今日まで世界規模で平和と人権保護が希求されてきたと言えます。

 

 しかし、いまだ深刻な地域紛争、テロ、核兵器の脅威、難民問題、さまざまな形の差別、経済的格差および摩擦などが世界中の人々の平和を脅かしています。昨年7月には国連総会で122カ国と地域の賛成多数により核兵器禁止条約が採択されましたが、核兵器の全廃と根絶を目的として起草されたこの国際条約も、今年7月7日現在バチカン市国を含む11カ国しか批准していないという状況です。核兵器保有は抑止のために必要であるという考え方が根強いからです。しかし核兵器保有は、むしろ軍拡競争の原因となり、ひいては経済の軍需産業依存、軍需と政治の癒着を来してしまいます。抑止とは、武力で平和を維持しようとする試みですから、敵対心、相互不信感、利権の衝突など対立の要因をいっそう深刻化させ、和解、和平、相互理解の基盤を徐々に崩してしまいます。世界が直面する喫緊の問題(環境、移民・難民、格差や貧困など)は、長年の抑止論と不均衡な経済制度から生まれています。

 

 また、テロ対策や安全保障を理由に言論統制が行われ、インターネット上のサイバー攻撃や差別意識を煽るヘイトスピーチが横行し、スマホ依存症に起因するさまざまな問題も生じています。メディアは、特定の国や民族や宗教等について否定的な固定観念を作るのではなく、正確な情報を公平に提供し、相互理解を促すべきです。

 

 わたしたちは、人間が神に象られて創造された高貴なものであり、全人類が一つの家族であると教えられています。また、人類は和解と相互愛によって連帯を構築する使命を神から与えられていることを知っています。このような信仰と確信に基づいて、愛をもって真実を語り、互いに高め合い、きずなをつくるために情報を役立てるように努めましょう。また世界特に東アジアの情勢を常に注視し、為政者たちが自国の利益の優先ではなく相互の善益と平和を追求するために徹底した対話を忍耐強く続けることができるよう祈りましょう。

                        2018年7月7日 

                        日本カトリック司教協議会会長

                        カトリック長崎大司教 髙見 三明